身体の歪みは腰痛の原因になる?|姿勢・骨盤・筋肉バランスと痛みの関係をエビデンスで解説

目次

🔹はじめに:なぜ「歪み=腰痛」と言われるのか

多くの人が「骨盤が歪むと腰が痛くなる」と聞いたことがあると思います。
実際、大抵の整体や鍼灸の現場では「身体のバランスの崩れ」が腰痛の大きな要因とされています。

しかし、医学的・科学的には「歪み」だけで腰痛を説明するのは難しいとも言われています。
ここでは、エビデンス(研究結果)をもとに、身体の歪みと腰痛の関係をわかりやすく整理してみましょう。


🔹1. 「身体の歪み」は何を意味するのか

「歪み」とは、医学的には明確な診断名ではありません。
主に以下のような状態を指します:

  • 骨盤の傾きやねじれ
  • 脊柱の側弯(軽度の脊柱側弯症など)
  • 筋肉のアンバランス(片側の筋緊張が強い)
  • 姿勢の偏り(猫背、反り腰、片脚重心)

つまり、「骨格構造」「筋肉の張力」「動作のクセ」などが複合しているのです。


🔹2. エビデンス①:歪みと腰痛は「直接的な因果関係は弱い」

📘引用研究1:

“There is no strong evidence that spinal or pelvic asymmetry directly causes low back pain.”
(脊柱や骨盤の非対称性が腰痛を直接引き起こすという強い証拠はない)
Lederman, E. (2010). The fall of the postural–structural–biomechanical model in manual and physical therapies.

この論文では、いわゆる「姿勢や構造の歪み=痛みの原因」という考え方は、
単純すぎると指摘されています。

実際、レントゲンで明らかに歪みがある人でも無痛で生活できる例は多く、
逆に、姿勢が整っている人でも慢性的な腰痛に悩むケースも少なくありません。


🔹3. エビデンス②:「筋肉バランス・運動制御の乱れ」が痛みに影響

📘引用研究2:

“Motor control impairment and asymmetry of deep trunk muscles are associated with low back pain.”
(体幹深部筋の非対称性や運動制御の乱れは腰痛と関連する)
Hodges, P.W. & Moseley, G.L. (2003). Pain and motor control of the lumbopelvic region.

この研究では、腹横筋や多裂筋などの体幹筋の左右差が腰痛患者に多いことが示されています。
つまり、「構造的な歪み」よりも、筋肉の使い方・バランスの悪さが痛みを引き起こす要因と考えられます。


🔹4. エビデンス③:「心理的ストレス」や「神経系の感作」も関与

📘引用研究3:

“Psychosocial factors and central sensitization play significant roles in chronic low back pain.”
(心理社会的因子と中枢性感作は慢性腰痛に重要な役割を果たす)
Apkarian, A.V. et al. (2013). Nature Reviews Neuroscience.

慢性腰痛の多くは、身体の歪みや構造の問題だけでなく、
ストレス・不安・睡眠不足などによって神経が過敏化している状態でもあります。


🔹5. 鍼灸治療でできること

科学的には「歪みそのものが腰痛を生む」とは断言できませんが、
現場の臨床では、以下のような改善が多く見られます:

  • 鍼灸による筋緊張の緩和・血流改善
  • 姿勢指導・ストレッチによるバランス再教育
  • 呼吸調整で**体幹の安定性(インナーマッスル)**を高める

これらは「歪みを整える」というよりも、動きと神経のバランスを整えることに近いです。


🔹6. ゆうしん治療院の考え方

ゆうしん治療院では、
腰痛を「構造」「筋肉」「神経」「心身バランス」の4つの視点から捉え、
一人ひとりの身体の使い方・姿勢・生活習慣を分析して治療を行います。

例えば:

  • 筋緊張タイプ → 鍼と手技で筋膜リリース
  • 骨盤不安定タイプ → 体幹強化+姿勢指導
  • ストレス関連タイプ → 自律神経バランス調整

根本的な原因を探りながら、再発しない身体づくりをサポートしています。


🔹まとめ

観点ポイント
歪み自体は腰痛の「直接原因」ではないただし、筋バランス・神経の使い方には影響あり
姿勢改善・鍼灸・運動療法痛み軽減と再発防止に有効
心理的要因も無視できないストレス・緊張も腰痛を悪化させる

🔹参考文献

  1. Lederman, E. (2010). The fall of the postural–structural–biomechanical model in manual and physical therapies.
  2. Hodges, P.W. & Moseley, G.L. (2003). Pain and motor control of the lumbopelvic region.
  3. Apkarian, A.V. et al. (2013). The pain of being human: Pain as a homeostatic emotion. Nature Reviews Neuroscience.
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