頭痛の鑑別と治療選択

昨日、月一回の東京大学病院での研修に行って来ました。

今回のテーマは「頭痛」

頭痛に対して、医学的知識、各治療手技を習ってきました。

個人では習得できないであろう事が多く学べ、大変有意義な時間でした。

 

 

頭痛持ちはどのくらいいると思いますか?

人口の10%です。

皆さんの周りにも一人はいるでしょうね。

 

鍼灸治療が有効なものは、下記の一次性頭痛(他の病気によらないもの)です。
・緊張型頭痛
・片頭痛
・群発頭痛

 

その他の頭痛は、二次性頭痛(他の病気によるもの)であり、病院の診察が必須。

例えば、
・脳に原因がある:髄膜炎、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷など
・発熱によるもの:インフルエンザなどの感染症
・眼科疾患:特に急性緑内障
・耳鼻咽喉科疾患:中耳炎、副鼻腔炎など
・歯科口腔外科疾患:歯性感染症、顎関節症
・薬物乱用性頭痛
・その他:低髄圧症候群、頭蓋内圧亢進症、一酸化炭素中毒、高山病など
・頭部の神経痛、顔面痛

 

自分の頭痛が下記にあてはまる場合は病院に受診して下さい。

・「突発性の頭痛」
・「経験したことのないような頭痛」「人生最悪の頭痛」
・「いつもと様子の違う頭痛」
・「だんだん悪化する頭痛」
・50歳以降の初発頭痛
・麻痺や視覚異常、意識障害やけいれんを伴う頭痛
・発熱、発疹、項部硬直を伴う頭痛
・悪性腫瘍や免疫疾患の既往

 

 

以下は、「慢性頭痛ガイドライン2013」から抜粋です。

*上記ガイドラインは日本頭痛学会ガイドライン委員、神経学会ガイドライン委員など計47名で構成される専門家が作成しています。

 

薬物療法以外にどのような治療があるか

推奨
一次性頭痛の薬物治療以外の治療法には
① 行動療法:緩和訓練、バイオフィードバック、認知行動療法、催眠療法
② 理学療法:鍼、経皮的電気刺激
③ サプリメント療法:ナツシロギク、マグネシウム、ビタミンB¹

 

上記を「推奨グレード」に分けます。

グレードA 行うように強く進める
グレードB 行うように勧める
グレードC 行うように勧めるだけの根拠が明確でない

 

① 行動療法・・・推奨グレードB
② 理学療法・・・鍼治療:推奨グレードB
③ サプリメント・・・推奨グレードB

*カイロプラクティック:推奨グレードC
専門家の一定の見解は得られておらず、手技によっては危険性も伴うため、治療には十分に注意が必要

薬物療法が嫌いな方は、①、②、③の中から好きな方法を選べばいいかもしれません。

 

また、もう一つの選択があります。

それは漢方薬。

漢方薬の推奨グレードはBです。

近年では徐々に科学的エビデンスが集積されています。

以下は、頭痛に効く漢方です。
・呉茱萸藤(ごしゅゆとう)・・・・効果発現時期として2週間以内に8割以上改善
・桂枝人参湯(けいしにんじんとう)・・・6割の改善率有り。薬物療法で胃があれている人には、漢方に人参が含まれているので胃の改善に繋がります。
・釣藤散(ちょうとうさん)・・・・4~6週間で7割近く効果あり。
・葛根湯(かっこんとう)・・・5~6割の改善率

 

一つの疾患に対し、多様な治療法があります。

現代医学・漢方・鍼灸などそれぞれは万能ではありません。

また、疾患に対し向き不向きの治療があります。

今回は「頭痛」を取り上げましたが、症状に対し、皆さんが最短・最良の治療が出来るよう選択して下さい。

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